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植物生理学における栄養素には、必須栄養素(ひっすえいようそ、)と有用栄養素(ゆうようえいようそ、)の2種類が存在する。必須栄養素とは、植物が生長するために、外部から与えられて内部で代謝する必要がある元素である。対して有用栄養素とは、植物の正常な生長に必ずしも必要ではないが、施用することで生長を促進したり収量を増加させたりする栄養素である。 は植物の必須栄養素を、その元素がないことにより植物がその生活環を全うできないもの、と定義した〔。後に、エマニュエル・エプスタインは、植物の生育に必須な成分や代謝物を構成することも、必須元素の定義であると提案した〔。 現在、植物一般の必須栄養素として以下の14元素が知られている。これらは、一般に植物の要求量が大きい多量要素(植物組織の乾燥重量の0.2%以上)と、小さい微量要素(同0.02%以下)に大別されている〔。 * 多量要素 * 多量一次要素:炭素 (C)、水素 (H)、酸素 (O)、窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K) * 多量二次要素:カルシウム (Ca)、硫黄 (S)、マグネシウム (Mg) * 微量要素:ホウ素 (B)、塩素 (Cl)、マンガン (Mn)、鉄 (Fe)、亜鉛 (Zn)、銅 (Cu)、モリブデン (Mo)、ニッケル (Ni) 多量一次要素のうち、CとOとHは大気中の二酸化炭素および水分子から吸収される。このため、植物の生育においてこれら栄養素は土壌や培地に存在する必要がない。必須栄養素のうち、CとOとHを除いたものを無機栄養素と呼ぶ。無機栄養素はほとんどの場合、その植物の支持体(土壌や栽培用の培地など)から根によって植物体へと吸収される〔。 また、寄生植物や食虫植物といった、他の生物から栄養素を取り込む植物も存在する。 肥料成分にNとPとKの3栄養素は最も大量に必要であり、この3要素を肥料の三要素という。 何が必須栄養素となるかは、植物種間はもちろん、同種クローンの個体間でさえ異なる。必須栄養素の存在量が不足でも過剰でも植物に障害は現れる。また、ある必須栄養素量が低水準であるとき、他の必須栄養素の存在量は相対的に大きくなり、その過剰障害が現れることがある。例えば、硫酸イオンSO42−が不足しているとき、硝酸イオンNO3−などの他の要素の取り込みは影響を受ける。また、カリウムイオンK+の取り込みはアンモニウムイオンNH4+の存在量に左右される〔。 == 分布 == 普通、世界中の土壌は、人為的に肥料を与えずとも植物に十分な量のすべての必須栄養素を供給する。が、一般的に肥料の供給(施肥)は植物の更なる生長と収量の増大をもたらす。また、大部分の作物において収量はその作物が吸収した肥料成分の量に比例して増加する〔。一方で、ほとんどの場合、作物は、与えられた肥料から栄養を半分ほどしか利用できない〔。 生物の死骸やその他環境中に放出された有機物が微生物の分解作用を受けて難生分解性物質の土壌中の堆積物となった腐植土は、必須栄養素を長期間にわたって持続的に植物へ供給し続ける〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「栄養素 (植物)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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